ひろこバレエ10周年記念インタビュー

バレエのことと生徒さんのことを考えていてあっという間に過ぎた10年でした

ひろこバレエ代表 都築裕子

2021年7月で10年目に入ります。

 ありきたりな回答ですが、本当に早かったと感じています。バレエの事、生徒さんの事を考えていてあっという間に過ぎた10年でした。

10年前と今では何か変化がありましたか?

 根本的な考えは今も変わっていません。私はバレエが本当に大好き。バレエの魅力をたくさんの子どもたちに伝えたいと思っています。教室を始めた当初、私はバレエの先生だからバレエの基礎や技術をしっかり教え込まなければと思っていました。しかし、それには長い時間が必要です。週に1回よりも2回、3回来てくれたらもっと上手になるのにと。ただ生徒さんは学校に行く、塾にも行き、受験もあるし他の習い事にも行く。バレエを何よりも優先してきた自分との考えの違いに悩んだ時期もありました。その中で、生徒さんや親御さんとお話しをさせていただくうちに少しずつ私の中で変化が生まれてきました。

具体的には?

 先ほどにも申し上げたように、バレエの技術を教えるのは当たり前ですが、それだけではなく私がやるべきことはバレエを通して心身共に健康で豊かな人生を歩めるよう、お手伝いをすることだと気づきました。  週に1回でも本人が踊るのが好きで楽しく通っている。ご家族の協力のもと、好きなことを続けられる。それは素晴らしいことだと感じました。そしてこのバレエのお稽古を通して生徒さんの中身を育てていきたいと思うようになりました。

裕子先生が思う「中身を育てる」とは?

 送迎をしてくださるご家族、講師の先生や一緒にレッスンしているお友だちへの感謝の気持ちを持ち、しっかりご挨拶をすること。シューズやお衣装は大切に扱うこと。整理整頓はもちろんのこと、仲間を思う気持ちも大切にしてね、とお話ししています。

ところで裕子先生は昨年お子さんを出産されましたね。そのことで気持ちの変化はありましたか?

 それはもう、ガラリと変わりました。ひろこバレエの入会は3歳から。そのため私がお預かりしているのは3歳以上のお子さんになるのですが、その3歳までに育てるのがまず大変。一人一人の生徒さんがご家族にこんなにも大切に育てられているのだと改めて感じました。大切なお子様をお預かりする責任を今まで以上に感じています。そして、一人でもこんなに大変なのにご兄弟を連れてお稽古の送迎に行くって本当に大変!皆さんどのように時間をやりくりしていらっしゃるのか私がお聞きしたいくらいです。

裕子先生がバレエを続けてきてよかったと思うことは?

すごくたくさんあります。
まずどこに行っても姿勢がきれいだと初対面の方に言われます。それからバレエって逆算することが多い。例えば舞台のある日は楽屋入りしたら何時までにウォームアップをして衣装を着ておこう。この時間はたくさん人がいそうだから少し早めにやっておこうなど段取りが上手になります。食べ物も明日の事を考えて選ぶ。私はバレエをもっと踊りたいという一心で栄養学や解剖学も学び、20代より健康になりました。出産後の回復もとても早く皆さんに驚かれています。または、バレエは身体も強くなりますが、心も鍛えることができます。身体をコントロールできると気持ちもコントロールできるようになるんです。見たこともない妖精や白鳥にもなる必要もありますし、その想像力は常に相手がどう思うかな、と考える力を育みます。しかし、これらは数年では習得できないので保護者の皆さんには長い目でお子さんを見守ってほしいとお伝えしています。

現在の、そしてこれからのひろこバレエはどうありたいですか?

 当初は私が一人でみんなを教えていたけれど現在は講師の先生にもクラスを持っていただいています。私一人で教えるよりもそれぞれの先生のいろんな目線で教えていただいていて、私も見ていて「なるほど」と思うことが多いです。
 ひろこバレエの先生方はみんなバレエを愛しています。そしてとても勉強熱心です。特に約束したわけでもないのに、解剖学やバレエのセミナーに行くとみんなが来ていて、おや?あなたも来たのね、となることがたくさんあります。それから少し前ですが、私が以前教えていた生徒さんが母親になられ、そのお子さんが入会してくれました。こんなことがあるなんて。と、とても嬉しかったです。
 今いる生徒さんがバレエのお稽古を卒業してもやっていてよかったと、そしてまたバレエをやりたいと思ったときにいつでも迎え入れることができる教室を作っていきたいです。
 それから今は感染防止のために開催を控えているのですが、ペアレンツデーや懇談会をたくさん開催したいです。ペアレンツデーは普段お子さんがどんなレッスンをしているか知っていただくこと。バレエの歴史など普段お伝えできないこともお伝えしていきたいと考えています。
 保護者のみなさんがバレエに興味を持ってくださることが、生徒さんが長くバレエを続けることにつながると思っています。

最後に10周年記念発表会の意気込みと見どころをお願いします。

 10周年の発表会は本当は昨年開催する予定でした。1年繰り越したことで練習期間も長くなり、生徒さんからも保護者様からもいよいよという雰囲気を感じます。ひろこバレエは三河の教室なので私としては、家康公の関ヶ原の戦いに挑む気持ち(笑)絶対に失敗はできないぞと。今回は全幕なので例年と比べ出番も多いし、踊ることはもちろん、演技する場面も多いです。元劇団四季の水井博子先生に演技指導にいらしていただき、ヘトヘトになりながら朝から夕方までひたすら役を作りこむ練習もしました。
 それから、5周年は私が「眠れる森の美女」で主役のオーロラ姫を踊らせていただきましたが、今回は生徒さんに主役を踊ってもらいます。10年経って主役を踊れる生徒さんが育ってくれたのは本当に嬉しいです。今年初めて舞台に立つ生徒さんも大勢いらっしゃいますが、何年後かにみんなが成長し美しいバレリーナになってくれると思うとわくわくします。

 色々とお話ししましたが、生徒さんたちにはまず心から舞台で踊ることを楽しんでほしいです。そして、お客様もそれぞれクララの気持ちになってお菓子の国の音楽会を楽しんでご覧いただけたらと思います。

「ひろこバレエ10周年記念発表会」プログラムより

ひろこバレエ10周年記念発表会